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CAEな日常

一応CAE技術者です。日常の出来事、CAEや趣味の物理、数学などの話題を備忘録として。

NHKスペシャル神の数式

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NHKスペシャル神の数式

先日の連休、実家に帰省した際に録画しておいたNHKスペシャルを見た。

神の数式と題して、2夜連続の放送。物理に興味のある人なら、たぶんみんな期待して番組を見たのではなかろうかと思う。第一部は素粒子の標準理論、第二部は宇宙と重力を含む万物の理論を目指したテーマとなっていた。
予告編を知人のブログで見たが、非常にセンセーショナルな内容で受け狙いというかちょっと大げさでハデな気もした。内容は、予告編通り非常に一般受けを狙ったような作りで、ストーリー性があって面白かったと思う。去年、標準理論の予言する最後の素粒子、ヒッグス粒子と思われるものが発見されたと言う報告があり、先日、その存在が確定された様で、ノーベル物理学賞についても、その関係の業績に対して与えられた。
放送は先月のものなので、ノーベル賞とは前後するが、タイムリーな内容なので興味深く見る事が出来た。

しかし、いかめしい甲冑に身を包み、様々な理論で武器が強化され、次々に難問の壁を打ち砕いて行く様は、結構うまく例えてあったし、一般の人が受けるような作りだった様に思う。なかなか面白い演出だった。
第一部は、南部先生とワインバーグ先生が主役と言った所だろうか。最初の鉛筆が倒れる現象に象徴される様に、南部先生の業績が最終的な結論へと導くテーマだった様に感ずる。ディラックの電子論から始まった素粒子の標準理論は、オッペンハイマーが続いたのが意外だったが、繰り込みを完成させる過程で、朝永先生を出す流れなのだろうと言う事か。個人的には、小林、益川両先生のお話が出て来なかったのが少し残念だが、番組の時間の関係で、そんなに多くの話題は盛り込めない様である。
IPMUの大栗先生によれば、あの一時間で説明出来る内容は、ブルーバックスのような本のわずか10ページ程度に過ぎないらしい。なるほど、NHKもなかなか選択には手こずったのかもしれない。

第二部は、標準理論を越えていよいよ宇宙、重力も含めた万物の理論を追求する内容だった。こちらの主役は、やはり超弦理論の生みの親とでも言えるような、シュワルツ先生だろう。現在、超弦理論は素粒子のミクロの世界と、宇宙を記述する一般相対性理論を統合する最も有力な理論だと言われている。こちらの内容に関しては、問題の難しさ故に様々な悲劇が起こったと言う話が、印象に残った。ブロンシュタインの政治的理由からの銃殺やシャークの精神的ダメージによる自殺は、彼らがそういう目に遭わなければ、現代物理はもっと違った発展をした様にも感じた。
実は、ブロンシュタインについてはこの番組で初めて知り、標準理論が生まれる前にこんなすごい理論物理学者がソ連にいたのだなと、改めて当時の政治的な人材損失の大きさを認識出来た。
それにしても、シュワルツ先生は強い。誰にも見向きもされなかった理論を、孤独に耐えてこつこつと積み重ね、ついには日の目を見ることに成功したのだから。

さて、ノーベル賞と言えばヒッグス粒子だが、この番組でも素粒子の質量獲得についてはヒッグス粒子が邪魔をして素粒子が光速で動けないため質量を持つという説明になっていた。ここはやはり、もう少ししっかりした説明をして欲しかった所であるが、一般向けだときちんとした説明は難しいのだろうか。こういう間違ったイメージを与えるよりは、抽象的な説明になっても仕方がないとに思うのだが...。

まあ、でもとにかく面白かった。大栗先生のツイートでは「ディレクターの方にお聞きした所、NHKスペシャルではダントツ」なのだそうだ。一般の人も結構こういう事に興味を持っているのだなと感じた話であった。
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N. Yokoyama
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非公開
自己紹介:
2011年に再就職するも8月には退職し、また出直そうと10月から新しい職場に就職。現在は派遣技術社員として、機械系CAEの業務に従事しています。
とりあえず、ブログはぼちぼちやっていくつもりです。
以前のブログは
http://ameblo.jp/huitre-va/
(2010年12月終了)
(2013年非日常の出来事として再開)

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