昨日から今日にかけての深夜、米国時間で11日の10:30からLIGOによる重力波の直接観測の結果が発表された。アインシュタイン博士が予言してから100年目のこの年、ついに重力波をとらえることに成功したというニュースを聞いて、かつて物理学を学んだ者として非常に興奮した。
ぼくが学生の頃にはほとんど現実味のない話だったことが、今ではどんどんと現実になりつつある。21世紀に入ってからの実験や観測による物理学の発達は、目を見張るものがある。4年前のヒッグス粒子の発見もそうだが、理論上の仮説でしかなかったものが、今世紀に入って実験や観測により、次々と解き明かされそうな勢いにある。少し前のBICEP望遠鏡での発表は残念ながら間違いだったが、まだまだこれから未知の発見を与えてくれるだろう。
LIGO (Laser Interferometer Gravitational wave Observatory)はカリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学が中心となって運営されてきた重力波観測計画である。今回の観測では、ふたつのブラックホールが合体してひとつになった時に、放出されたエネルギーが重力波となって伝播したものをとらえたということである。なんでも太陽の3倍の質量分のエネルギーが重力波となったらしいが、20万年に1度のイベントとも。
大栗先生のツイートで、LIGOのチームが記者会見を行う話を知ったが、こんなすごい発表があるとは!
重力波が直接観測されることによって、今までは電磁波でしか見えなかった宇宙が大きく拓けてくるだろう。ビッグバン直後の初期宇宙、インフレーションの証拠など、様々な現象について前進することが期待される。
アインシュタイン博士の予言から100周年!というのもなんだか出来過ぎな感じではあるが...。
これからは、重力波天文学という新しい分野で、今までわからなかったことがどんどん解き明かされていくのだろう。学生時代に空想の世界でしか思い描けなかったことが、現実になっていく今、21世紀を生きているのだなと実感し、今の学生さんたちを少し羨ましくも思う。
今回、LIGOとともに欧州のVIRGOも共同で発表があったが、今後は日本でもKAGRAが観測を始めるので、新しい日本の成果を期待したい。LIGOやVIRGOとの共同観測で、ますます未知の宇宙に迫ってほしいと願っている。
Caltechの大栗先生のブログ記事が詳しい。
http://planck.exblog.jp
Physical Review Letters
http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.116.061102