日本時間で、月曜から火曜の深夜にかけてハーバード・スミソニアン天体物理学センターにて、宇宙誕生時の重力波が観測されたとの発表があった。IPMU&Caltechの大栗先生が書かれているブログに寄れば、初期宇宙の時空の量子的な揺らぎを起源とする原始の重力波の存在が確認されたのは、今回初めての事だそうだ。
この観測結果は、初期宇宙のインフレーション理論を支持する有力な証拠となる事、量子重力の効果を初めて観測した事など、非常に重要な意味を持っていると言う事だ。
ハーバード大学のジョン・コバック准教授が中心になって研究を進めているBICEP(Background Imaging of Cosmic Extragalactic Polarization)なる望遠鏡を用いた観測らしい。もともと、Caltechのジェイムズ・ボック教授が立ち上げたプロジェクトが、教授亡き後、現在に引き継がれている。今回の観測は2代目にあたるBICEP2望遠鏡と言う事だ。
r比が0.2とか、インフラトンの変動幅がプランクスケールより大きいとか、詳しい事は理解出来ないが、量子重力の効果の検証とか、インフレーション理論の検証とか、ぼくが学生時代にはSFの話だと思っていた事が、現実になりつつある事に非常に驚いた。
3年かけてデータ解析を行い、誤差確率を7σとしたと言うが、先のHiggs粒子の発表では誤差5σという話だったから、徹底的にデータの検証を行った事がうかがえる。データの改ざんなどの残念な話題も耳にするが、真理を追究する人々は、本当に謙虚な姿勢で研究を進めているのがわかる。
残念ながら、翌日仕事もあり、深夜のあの時間には起きていられなかった。また、発表も当然日本語でないので、楽しめるかどうかもわからない。やはり、英語がわかると言う事はこのような歴史的な瞬間にも立ち会えると言う事実もあることがわかり、もっと英語がわかるようになりたいと思った発表でもあった。
物理ブログ「とね日記」を書いておられる、とねさんなどは、深夜のネット配信を大栗先生のツイートを参考にしながら追っかけていた様だ。この情熱には頭が下がる。
先頃は、標準模型を確かな物としたHiggs粒子の存在を検証し、今また宇宙誕生時の秘密に迫ろうとしている。20世紀の物理は理論が先行した様に見えたが、21世紀は実験と観測の刺激的なニュースで幕を開けた様な気がする。今後は暗黒物質や超対称性粒子の発見など、わくわくする成果が得られる事を期待している。
大栗先生のブログとね日記BICEP結果データサイト