先月最終日、もう先々週の事になってしまったが、朝日カルチャーセンター主催の講座で「時空とは何か」を受講した。講師は、IPMUカブリ冠教授の大栗先生、IPMU村山機構長、そして朝日新聞の高橋真理子さんである。
場所は、あらかじめ大人数が想定されていたので、住友ビル地下のホール。自分は開始45分ほど前に会場に到着したが、すでに結構な長蛇の列! 以前の講座で知り合った前橋の271828さんがすでに並んでいた。同じくとねさんはまだ来られてなくて、30分前くらいに来られただろうか。
今回は、御三人の鼎談から始まり、村山先生の講演、大栗先生の講演と続き、最後は会場の皆さんの質疑応答というプログラムで進行した。
最初の鼎談では、高橋さんが進行役を務め、時空に関するこれまでの見方、考え方を復習する非常に良い場となった。日常生活を送る上で、現代人が時間や空間に対して持っている考え方は、やはりニュートンの頃に確立した絶対時間と絶対空間という入れ物の中にいるというイメージが一番強いだろう。相対性理論は、ニュートンの考え方を修正する事になったが、あまりこうした事を意識して生活している人はいないだろう。
しかし現代物理学では、更に時間と空間の概念に変更が迫られ、空間とはそれ自体が独立な存在ではなく、何かの二次的な作用によって定義されるものであり、本質的なものではないという事だ。ある意味では、空間と物質が独立に存在するのではないという、ニュートン以前の自然観に戻ったような感もある。この事は両先生も先祖返りなどという言葉で話されていた様に思う。
「空間とは幻想である」らしい...。
まず、村山先生の講演。大栗先生より2年後で、超弦理論が流行していたという反動から、超弦理論はやらないという選択をしたらしい。この講演では、実験と理論の両方を交えて最新の宇宙論を概観すると言った内容で、宇宙がどうなっているのか、始まりと終わりはどんな状態なのかという事を分かりやすく説明された。
ただ、やはり30分という時間は豊富な内容を説明するのには短く、あっという間に終わってしまった。もう少し時間があればなあと残念に思ったが、先生の著書を読んでいたおかげで、かなりスムーズに頭に入って来た様に感じた。
そして、大栗先生の講義。過去2回、重力と超弦理論について講座を受けていたので、今回も非常に楽しく、またすんなりと話に入って行けた様に思う。また、先生の著書も二冊ほど読んでおり、予備知識として今回の講演を聴くのに役立っている。これも村山先生同様、30分しか時間がないので本当にあっという間に終わってしまったと言う印象だった。どちらの先生のお話も非常に魅力的なので、もう少し聴きたかったなーという気持ちでいっぱいであった。
最後に、高橋さんはじめ、会場の皆さんの両先生に対する質問タイム。毎度の事ながら、皆さんよくあんな質問を思いつくなあと非常に感心してしまった。自分はどちらかというと話について行くのに精一杯で、一度何か質問してみたいとは思っているのだが...。もう少し考えてみよう。
隣に座っていたとねさんも質問。時空の曲がりを示す図の下側が広がっているのはホワイトホールなのかという質問だったと思う。先生は下側はない物と考えよという回答だった。エネルギーとは何かという本質的な質問をした人もいたなあ。
今回、ブラックホールの防火壁問題という物が新しく取り上げられ、興味を持った。まだ、去年の暮れに指摘された問題らしい。この話に着いても大栗先生や村山先生にこのような講座でお話を聴いてみたいと思う。
さて、講座修了後は今回もLionあぐらでオフ会。とねさん、271828さん、Tさんらとビールを飲みながら楽しくお話しさせて頂いた。そして271828さんにはまたルバーブのジャムなどという物を頂いてしまった。
感謝感謝。
またこういう機会に参加したいと思うが、まだまだ講座は続くのだろうか。ぜひ次回もこのような最先端の物理の内容を聴きに行きたいと思う。