昨日は、CAE解析塾の関東地区での最終講義の日であった。今回の内容は材料非線形をメインに、有限要素法のまとめ、最後に懇親会と言う楽しい一日であった。
関東地区解析塾の基礎編(応用編)は全2回、昨年第1回に引き続き、京大の小寺先生の講義が行われた。前回は主に幾何学的非線形に関する内容だったので、今回は材料非線形をメインに、構造解析における線形と非線形の違いや歪み-応力の関係を学んだ。
前回購入したテキストで少し予習はしていたのだが、塑性に関する歪みと応力の関係式を求める事がどうしても出来ないので、講義でどのように話されるかに注目した。先生は明確に「応力と歪みの関係は一意に決まりません」と言われたので、ではこの議論で一体何が言いたいのか、塑性域において関係を求めようとしたのは何だったのかという疑問が出て来た。
最初は弾性変形と同様なやり方で、歪みと応力の関係を求めることを始めたが、そもそも塑性域ではポアソン比が0.5なので、弾性変形に用いられる応力歪み行列が発散してしまう。ポアソン比を決めて書き下すと、歪みの関係は求まっても、応力との関係は求まらない。
結論としては、荷重をかけたときの力や変形の方向と言うのは弾性変形において決まるのであり、塑性のみ考えていても一意には決まらない。現在では、計算機の性能も上がったので弾性域と塑性域を同時に扱う事も出来る様になったが、20年ほど前まではそうした弾塑性体を計算機で行うのは非常に困難だったので、別々に取り扱う必要があった。塑性域のみで計算する場合は、あらかじめ力の向きなどを初期条件として指定することにより解いていたと言う事だ。
なるほど、今の業務では弾塑性体を扱う問題でも、計算機が弾性域では材料パラメータで指定したポアソン比で計算し、降伏条件もチェックし、塑性域ではポアソン比0.5で計算するような手順を踏んでいる。こちらでは、あまり弾性域、塑性域という意識をしなくて良い様にも思う。
最近では、塑性域のみを問題にする剛塑性と言う扱いはあまりしないらしいが、基本的な所から知っておくのが重要と言う事なので、塑性域において一意に歪みと応力の関係が求められない事を確認したのである。小寺先生の講義は、あらかじめ用意されたスライドなどを読み上げるのではなく、テキストも何もない状態から始めるので、板書は大変だが手を動かす事で良く理解出来ると感じた。
最後は表の形にして、非線形と線形の比較、有限要素法と差分法の比較を行いまとめとした。
「次は何も見ないで、自分で表の形にまとめられる様に出来る様になって下さい。」との言葉を頂き、講義は終了となった。もう一度、自分でも復習してまとめをやってみよう。
今回の講義では、試験勉強の時に解説を読んでもよくわからなかった剛塑性や上界法、粉体の変形について学べたのが良かった。
来年度は、自分で有限要素法のプログラムを作る演習もあるという話なので、自分で作ってみて理解を深めたい。
終了後は、新宿駅近くの居酒屋(名前は失念)で懇親会。初めての人ばかりだったが、解析関係の話で結構盛り上がった。中には製品に限定せず、様々な解析を業務で行っている方もおられ、話を聞くだけでも得る事は多かったと思う。
非常に充実した一日だった。来年度も引き続き、解析塾に参加して知識と人脈を広げたいと思う。
板書の一部。
修了証頂きました。